株式会社アコーディア・ゴルフ(以下アコーディア)は2023年4月に入り、これ迄行ってきた各ゴルフ場の会員募集を縮小し、ゴルフ会員権の名義書換を重視する方向性を明らかにしました。
これは4~5年前からアコーディア内では検討されて来ており、その背景は会員募集を通じ、際立った収益効果を認められなくなった為としています。アコーディアは発足以降、強力に現場での会員募集を推し進めて来ており、ライバル企業でもあるPGMグループとは、真反対の営業方針で臨んできました。
当初その営業方針は収益面で絶大な効果をもたらしたのですが、この度大きく方針転換する事になったのです。此れを裏付ける様に、同社が全国のゴルフ会員権団体へ発出した「名義書換等運用変更に関するお知らせ」は、名義書換重視宣言とも言える内容になっています。
このお知らせの中での端的な表れは、「会員権の譲受人よりゴルフ場が譲渡通知書を受け取りはするものの、速やかなる入会申請が無かった場合、今年度の年会費完納を条件に、次年度の年会費を発生させない」点に有ります。この譲受人を会員権業者と言い換えるならば、業者は長期間に渡り在庫にしておける事を意味しています。
年会費の新たな発生が無ければ、在庫コストが上昇する事も無く、又印鑑登録証明書の期限に付いては従来通り、延長手続きにより最長9ヶ月間、有効となる為、業者は再販手段が取り易くなります。アコーディアの今回の発表は、会員権業者のリアルな動きを、良く把握した上でのものだったと言えます。
ところで会員権の名義書換を活性化する事は、すなわち市場の会員権価格を上げる意味合いにも通じます。何故ならば価値の無いものにゴルファーの入会動機は、生まれ辛いからです。会員を集めては切り捨てる、預託金が無いが故に出来る技だった訳ですが、此れ迄のアコーディアの会員対策が変わろうとしています。