(2015.5.23 週間東洋経済)誌に於いて同誌大滝俊一記者が、ゴルフ会員権の最近の傾向に付いて述べています。経済誌でゴルフ会員権が取り上げられる事自体、珍しい事に成ってしまったので、ある意味新鮮でした。内容に付いてはWEBと雑誌両面で読む事が可能です。
タイトルはWEB上で「ゴルフ会員権、株高についていけない理由」、本誌では「税制改正と消費増税で全国の平均価格は低迷」と成っております。大滝氏は会員権業者などへの取材を通じて、ゴルフ会員権相場が低迷している理由として、1.損益通算が廃止された事と、2.消費増税が大きな要因だとしています。はたしてそうなのでしょうか?
以前、バブル経済時株価とゴルフ会員権相場は、リンクすると言われて来ました。リンクと言うよりは影響を受けやすい商品で有ったと言うのが、正確な表現ではなかったかと思われます。多分にそれは金融商品的な捉えられかたから、その様な値動きをしたものでしょう。
1991年から2015年3月までにいわゆる倒産_法的整理をしたゴルフ場企業は743件にのぼり、そのコース数は922を数えます。この様な倒産劇を繰り返す中で、ゴルフ場に対する認識は、経営基盤が脆弱で信用度が低い、と言う点が醸成されてきました。
ゴルフ会員権は資産価値が有るからとの理解で、何千万円、何億円と言う市場価格が付けられ、過去売買されて来ました。しかしながらゴルフ場の倒産がもたらす信用失墜_喪失は、ゴルファーのみならず多くの国民へ、ゴルフ会員権に対する失望感のみを植え付けて来たのです。投資対象として不向きな銘柄が多い為に、会員権価格が下落した事も良く理解出来るし、株価が上がろうとも会員権相場がそれに同調しない事、同調しない銘柄が多い事とその傾向は、納得出来る話です。
ではどの様にしたら、どの様に成ったらゴルフ会員権は投資対象として、社会的地位を克ち取る事が出来るのでしょうか。いや、それ以前にゴルフ会員権相場が、株価と連動する様な値動きをする必要が有るのでしょうか、しなければならないのでしょうか?
ゴルフ会員権はその譲渡及び譲受と言う手続きに於いて、あまりにも制約事項が多い商品だと言えます。そしてその本質は利用権であり、預託金返還請求権です。昨今、無額面証券を採用するゴルフ場が増えて来ておりますが、その様な商品もまたゴルフ場利用権だと言えます。利用権が株価に連動して乱高下するとは到底思えないし、その動きを支えて行ける社会的システムも不在だと言えます。
ただ言える事は、1990年2月をピークとした会員権相場も、2012年12月をボトムとした底入れを確認して、現在は安定した動きをしている事です。デフレ経済を脱却しつつある今日、ゴルフ会員権は大変求め易い環境に成っています。ゴルフ会員権に対するリスクが軽減されつつあるからです。生活にゴルフを取り入れたいと考えている方々には、とても良い状況になりつつあると思われます。