湯浅武晴氏の提言「どの子どもたちにもゴルフスポーツを」今も輝く

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 日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)は、「日本のゴルフを良くする」と言うテーマにて、広く一般の方から提言を求めたところ、中学校長を退職し東京ゴルフ専門学校で学び始めた千葉県野田市の61歳 (当時) 湯浅武晴氏の作品、「どの子どもたちにもゴルフスポーツを」と言う論文が、第2回JGJA論文対象を受賞しました。

 湯浅氏が受賞したのは1999年6月でしたから、今を去る事約16年前の出来事に成ります。この論文は貴重な提言が多く、今でも生きた内容ではないかと思い、日本ゴルフジャーナリスト協会様より著者の湯浅氏へ連絡を取って頂き、転載する事のお許しを頂きました。

 以下点線内は、日本ゴルフジャーナリスト協会様のWEBサイトに掲載されております湯浅氏の論文を、全文転載させて頂いた内容です。


東京ゴルフ専門学校1年 湯浅 武晴   千葉県野田市 61歳

「どの子どもたちにもゴルフスポーツを」

 「耕し、種をまき、水をやり、花を咲かす」 ゴルフをスポーツとして確かなものに育てるには、今の一時的なブームにとどまることなく中・長期的視野に立ち、時間をかけて根気良く継続してとり組むことが重要だと考えます。

特に、これからの子どもたちをどう育てていくかがゴルフ活性化の成否にかかわることであると考え、次の三つに視点をあてました。
1.学校教育へのゴルフスポーツの導入。 2.各地区ゴルフ練習場・ゴルフ場の地元学校に対する社会貢献。 3.学校ゴルフサポートセンター(School Golf Support center)の設置。

 

(1) 学校教育へのゴルフスポーツの導入

 ゴルフは、スポーツ心理学者・市村操一先生のお話にもあるように、マナー・エチケットの習慣から、自立心や感情のコントロール・思いやりの心の育成など、社会人として要求される全ての能力開発において、優れた教育的効果が指摘されています。 ゴルフというスポーツは経済的・環境的な制約がどうしても発生しやすく、このように高い教育的価値があるにも関わらず、子どもたちが手軽に行うには難しいのが現状です。学校における体育授業で実施することができれば、だれもがそれらの制約を超えてゴルフスポーツに親しむことができるようになります。ぜひ学校教育の中に取り入れるべきであると考えています。

 

(2)各地区ゴルフ練習場・ゴルフ場の地元学校に対する社会貢献

 約4000と、世界でもっとも多い数のゴルフ練習場を有する日本。子どもたちを育てるためには、各地のゴルフ練習場がそれぞれの地域の学校と連携し支援することによって、子どもたちが学校教育の一環としてゴルフスポーツを学ぶことができるようになります。ゴルフをしたいと思う、より多くの子どもたちに手軽に体験させることが可能となり、ゴルファーの裾野が広がることになります。 現在、各地区のゴルフ練習場やゴルフ場には地元学校への社会貢献が求められており、片や学校では「地域と共に歩む学校」「地域の力を借りて子どもを育てる」特色ある教育活動が求められております。 したがって、ゴルフ業界からの上手な呼びかけを期待しているのが現状と考えます。

 

(3) 学校ゴルフサポートセンター(School Golf Support center)の設置

 ゴルフ教育の導入は各学校の主体的な判断事項ですが、問題は学校でのゴルフスポーツの教育指導を実践する先生方を育て支援する体制や組織がなく、日常の学校教育現場では教育活動の煩雑性が多いことです。現在の教育現場においては、新しい事を進めるには困難性が高いのが現状です。学校関係者への多面的働きかけや、しっかりとした援助体制の確立が肝要なのはいうまでもありません。
  それら、学校の先生方に向けた「学校ゴルフサポートセンター(SGS)」の設置を提言します。SGSの役割は、「学校体育導入のシステムつくり」や「基本カリキュラムの作成」「ゴルフ教科書の作成」「練習場、ゴルフ場の地域学校支援システムづくり」「学校休暇中の先生方の集中実践教育の計画づくりと実施」「不用ゴルフ道具の有効活用」等のサポート体制が考えられます。   加えて、国内での「推進モデル地域」を設け、先進的実践として全国に発信していくことも必要と考えます。

 ゴルフ先進国アメリカでは、現在ゴルフ振興策として「プレイ ゴルフ アメリカ」が進められていますが、全米ゴルフ学校教育プログラムで示されている全米小学校体育に「ゴルフの楽しさを教える」ことが指針として示されています。そこで注目すべきは、青少年のゴルフ教育は「選手強化」ではなく「教育としての価値」に主眼をおいて進めてられている事実です。
  日本でも、東京都杉並区立高井戸中学校と?ハイランドセンターの31年に及ぶ連携の実践は「学校教育とゴルフスポーツ」の連携・支援の貴重な事例でありましょう。

 これからの日本のゴルフ界を大きく発展させるための方策で際立って重要なことは「時間をかけてとり組む」こと、そして「これからの世代の子どもたちに分け隔てなくゴルフスポーツを楽しむことができるようにする」ことです。

私は中学校長を退職し、現在、東京ゴルフ専門学校の1年生ですが「小さな芽は必ず花を咲かす」ことを信じ、毎日新しい発見をしながらゴルフを学んでいます。