毎年4月の第2週に開催されるマスターズ・トーナメントは、4大メジャートーナメントの中で唯一開催コースを変更する事無く、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブを舞台として、開催されます。
オーガスタ・ゴルフ・クラブは約300名の会員で構成されており、会員名簿が公開される事は有りませんので、正確な人数或いは氏名は不明です。会員になる為には、クラブより直接指名されなければ成りません。自ら希望して会員になれるものでは無いのです。
メンバーを増やす事をクラブ会長が提案し、しかるべき人物をクラブ会議が承認します。その人物へクラブより入会契約書が、送られてくるのです。クラブより送られて来た契約書の内容を、承諾するのか否かは、最終的に本人の決断によります。マイクロソフト社を創設した富豪ビル・ゲイツ氏でさえ、推薦を受ける為に数年待機し、2002年に会員になった事は有名な逸話となっております。
会員になる事が大変困難なこのクラブに、唯一日本人の会員がおりました。その人物は、石田禮助氏です。石田氏は1886年2月生まれで、東京高等商業学校(現在の一橋大学)を卒業後、三井物産へ入社し1939年代表取締役へ就任しております。1941年に三井物産退任後は、1963年に第五代国鉄総裁へ就任しており、その異色な人物像に付いては、作家・城山三郎が小説のモデルとした事でも有名です。
さかのぼる事石田氏は1930年に三井物産のニューヨーク支店長へ就任したのですが、1936年にはアメリカからの帰国を余儀なくされております。この帰国時にクラブの創設者であるボビー・ジョーンズ、そのビジネスパートーナーで有ったクリフォード・ロバーツより、石田氏の代わりになる日本人を推薦する様依頼されたとの事です。
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは1932年5月の完成ですから、石田氏は約5年間在籍していた可能性が有ります。正確な在籍年数は、現時点で不明ですが。それ以来日本人の会員は不在と言うのが、今日定説になっております。