株式会社富士小山ゴルフクラブは2022年6月20日に定時株主総会を開催し、小田急電鉄株式会社の完全子会社になる事を決議しました。この時点で小田急電鉄は56.1%の同社株式を保有しているものの、2022年3月31日にしめた第101期有価証券報告書では、非連結子会社と位置付けていました。
同社の支配的地位を有する小田急電鉄の意向により、完全子会社となる事を決議した富士小山ゴルフクラブは、394名の会員株主とその他株主より1株10万円にて株券を買い上げ、10株を小田急電鉄1株へ併合する、これが具体的な内容になります。この効力発行日は、2022年10月1日を予定しており、以降同社は小田急電鉄の完全子会社として連結対象子会社になります。
これまで同ゴルフ場は、小田急電鉄グループの奥座敷的意味合いも有り、野放図にビジターの集客に奔走する事は有りませんでした。なりふり構わず利益を追求して行くゴルフ場とは、一線を画しており、ある意味この点が優雅さを醸し出す要因にもなっていたと言えます。
しかし経営的には決して楽なものでは無く、親会社あっての同ゴルフ場だった訳ですが、小田急電鉄はここへ来て手放すどころか完全子会社として、存在感を高めようとしています。この様な判断に至った背景には、今後数年以内に開始されるであろう富士山麓を巡る大規模開発と、交通アクセスの大幅な改善が見込める状況、これ等の要素が大きく作用した様に思われます。
更にはゴルフ需要の大幅な改善、ゴルフブームとも言える現象が垣間見える現在、同ゴルフ場の役割を強化して行く事が、小田急電鉄グループとしてシナジー効果を得られる、この様な判断が上場会社には有ったのだろうと推察されます。
親会社との関係性が明確になり、進むべき道が明らかになったものの、現場においては如何に効率の良い集客と品を崩さないクラブ維持、この課題は常に求められているのだと思われます。