先日ある法人より(栃木県の希望丘カントリークラブ会員権を壱口所有しており、損失処理をしたいが、考え方の概略を参考までに教えて欲しい)、との質問がありました。
特に優先的関心事は、預託金額が当初700万円で有ったものが、後日210万円へ減額された証券が送られて来ており、税務計算をするに当り、当初の取得金額を基に算出して良いのでしょうか? と言う内容の話しでした。
希望丘カントリークラブを経営しております(株)成和は、2003年2月に東京地裁へ民事再生法の適用を申請したのですが、同年7月9日の債権者集会にて、下記内容の計画案が可決され、2006年10月10日には再生手続きが終結しております。再生計画は下記の通りです・
- 自主再建。
- 退会会員へは、預託金の15%を2004年より10回均等分割弁済。
- 継続会員へは、預託金の30%を10年据置の新預託金とする。
- 2014年以降の退会希望者については、税引き後当期利益の50%相当額を限度に償還に応じる。
この問題に対して編集長は、先日当(ゴルフ事件過去帖)でもご紹介しました(増補改訂版 判例・裁決からみた ゴルフ会員権をめぐる税務事例)を参考にして、より良い見解を見出してみたいと考えました。本書29ページ第2章 ゴルフ会員権をめぐる所得税(預託金の一部切捨て)の内容が、この度のご質問に対して適当と考えました。
内容を抜粋いたしますと、「単に契約内容の変更があったにすぎず、ゴルフ会員権としての性質は維持されることから、切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額も減額(付け替え)しない取扱いとなります。」としております。
要するに当初購入した取得価額を、原価にして計算して宜しいのだと教えてくれております。朝に頂いた案件でしたがその当日夕方に担当者へ報告の連絡をしたところ、既に顧問の会計士よりご確認済みとの事でした。弾んだご担当者のお声を聞いて一安心しました。