世界のゴルフトーナメント観戦へ扉を切り開いた男・島津隆司

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   < 代表取締役:島津 隆司 様 >

 日本のゴルフファンを世界のゴルフトーナメント観戦へ、その扉を切り開いた人物がいました。その男は(株)ジェットスポーツ代表取締役の島津隆司氏、その人です。
 今回は島津氏が、世界のゴルフトーナメント観戦へ至った経緯などを、レポートします。


━━━ 起業されたのは何時からですか?
島津氏 36歳の時です。
    大学卒業後14年間お世話になった会社を退職し、1986年2月からスタッフ4人で始め
    ました。
    1985年に先進5ヶ国によるプラザ合意が有り、その後日本経済は内需拡大へ向かう訳
    ですが、起業はその1年後です。その後順調に業績を伸ばせてこれたのは、この環境
    要因もありますので、振り返りますと本当に運が良かったなと思います。

━━━ 起業される以前は、どの様なお仕事をされていたのですか?
島津氏 卒業と同時に出身地である北海道のリゾート施設へ就職し、東京方面から来場するお
    客様へスキーとゴルフ、そして宿泊を含めた対応業務を主な仕事としていました。
    ゴルフはこの仕事を通じ、初めて知りました。

    ほとんどの事業計画を自分で立案し、行って来た8年間でした。様々な事を学ばさせ
    て頂きましたが、特に大勢のお客様の接客業務や計数管理は大変勉強になりました。
    この北海道勤務で経営の基本を、学ぶ事が出来た様に思います。

    30歳を機に東京本社のビル管理会社へ転籍となりましたが、丸の内のオフィス街の
    片隅で、旧知のお客様の北海道ゴルフをお手伝いしながら、旅ゴルフの夢を育んでい
    ました。

━━━ 起業されたお仕事とは?
島津氏 もちろん旅行業です。
    当初取り組んだのは、北海道を主軸にしたゴルフツアーです。

    春から夏へは北海道、秋から冬は宮崎、沖縄へエリアを拡大して行きました。当時、
    ゴルフ専門の旅行代理店は無かったので、随分と重宝がられ順調にスタートする事が
    出来ました。

━━━ ゴルフツアーのご苦労とは?
島津氏 スタート枠の確保ですね。
    当時の日本のゴルフ場は、全国で1500コースほどと言う状況でした。夏場は北海
    道へ人気が殺到しますので、人気コースヘは冬の間に直接現地訪問し、予約枠を確保
    してました。

    とは言えこの予約枠を返す事は即信用失墜になりますので、頂いた枠は全て使い切る
    様とても神経を使いました。

━━━ ゴルフトーナメント観戦ツアーのビジネスモデルとは?
島津氏 ❶飛行機を利用し会場へ➔❷トーナメント観戦➔❸トーナメント会場にてプレー
    この3拍子を一つにまとめてお客様へ提供する、このビジネスモデルに初めて取り組
    んだのは、当社であると自負しています。

    今では極当たり前の様な観戦モデルですが、導入当時は斬新な内容でした。その具体
    的なトーナメントは、宮崎で毎年開催されているダンロップフェニックストーナメン
    トです。

    2023年の今年で50回目を迎えましたが、この間トム ワトソン、ジャック ニク
    ラス、タイガー ウッズ、アーニー エルス、ジョーダン スピース、ブルックスケプカ、
    ジャスティン トーマスなど、大勢のメジャーチャンピオンが来日し参戦しました。

    当社は会社設立3年目の1988年から全日空の協力で、航空機を使った観戦ツアー
    を開始し、35年間に渡ってその勇姿を全国のゴルフファンへ案内して来ました。

━━━ 何が契機で世界のゴルフトーナメント観戦ツアーを開始されたのですか?
島津氏 きっかけは1995年7月の全英オープン(第124回)です。
    かつてのゴルフ場経営会社の子会社から、全英オープン観戦のお誘いを受け、一人の
    顧客として参加しました。

    この時の感動は今も忘れませんし、この思いを多くの方へ届けたい、これが最大の動
    機になっています。生涯心に残る試合でした。

    この時の状況を少し再現しますと、先にホールアウトしていた優勝候補のジョン デ
    ーリーに対し、一打差でコンスタンチノ ロッカが追う展開でした。
    バーディを取らなければ追いつけない18番ホール、ロッカは第二打目をダフると言
    う大きなミスをおかし、誰しもが優勝はデーリーだろうと思っていました。
    ところがロッカは、三打目のグリーンエッジからの長いバーディパットを、沈めてし
    まったのです。

    18番ホールを囲む無数の観客の拍手、そして歓声が大きなうねりとなり、会場全体
    が地響きを起こしたのです。

    心が震えました。
    この感動、この様な感動を少しでも日本のゴルフファンへ届けたい、この気持ちで居
    ても立っても居られませんでした。

━━━ 世界の様々なゴルフを文化を知る機会になられたとの事ですが
島津氏 この全英オープンを通じ得られたのは、世界にはゴルフをする文化のみならず観る、
    読む、学ぶ文化があると言う事でした。これは大きな収穫でした。

    此れまでもダンロップフェニックスなどへ、日本のゴルフファンを案内してきており
    ましたが、是非、世界のメジャートーナメント、世界の本物を紹介し観戦してもらい
    たい、と言う思いを強くしました。

    その後当社は全米オープン観戦ツアーなどを行って行くのですが、全英オープン時の
    感動が、大きな原動力になっています。

━━━ メジャートーナメントの観戦はいつ頃から手掛ける事になりましたか?
島津氏 全英オープンは1996年からですが、全米プロ、全米オープン、マスターズなどは
    2000年になってからですね。

━━━ 世界のゴルフを観戦し感じる事は?
島津氏 日本のゴルファーの方々を弊社は、国内外の様々なゴルフ場やトーナメントへ、案内
    して参りました。そして旅先にて多くの人や文化と接する訳ですが、その様な中で
    「人は何故ゴルフをするのか」と、自問自答しています。

━━━ 人は何故、世界中で永きに渡りゴルフをし続けるのですか?
島津氏 長きに渡り世界中の人々を魅了するゴルフ、そこにはギリシャ哲学で言うところの、
    「真、善、美」があるのだと思われます。ゲームとしての面白さだけで無く、この三
    要素を内包しているが故に、ゴルファーの心を離さないのだと思います。

    真とは、ゴルファーが自らを律する事
    善とは、エチケットやマナー
    美とは、フィールドやゴルファーの振る舞いの美しさ

    この「真、善、美」がゴルフの神髄であり、この点を意識するしないに関わらず、人
    はこのエキスに触れるが故に、ゴルフの虜になる様に思えるのです。

━━━ ゴルフ美学の伝道師ですね
島津氏 ある意味この「真、善、美」が、ゴルフの美学とも言えるのではないでしょうか。そ
    してこの美学をマーケットに少しでも伝えることが出来れば、とても嬉しいのですが。

━━━ ところで今後どの様な分野へ挑戦したいとお考えですか?
島津氏 今後のテーマは、クルーズゴルフですね。飛行機とホテルが合体した様なものですが、
    此処に大きな魅力を感じています。

    ハワイや地中海など夜間に移動し、起きたら毎日ゴルフ三昧、チェックインやチェッ
    クアウトも1回で済むのでとても快適です。ゴルフの旅ファンには、堪えられない思
    い出になるので、リピーターが増加中です。

━━━ 島津様とのお話は長時間に渡りましたが、島津様には先駆者としての自負が、みなぎ
    っていました。島津様が切り開いて来た道を、少しでも伝えられたならば取材冥利に
    尽きます。

取材後記
    2023年1月のJGJA新年会にてお目にかかった際、取材のお話を快諾して頂いたのです
    が、実際に訪問出来たのは2023年10月でした。

    銀座の事務所へ伺い島津社長よりお話を伺ったのですが、事務所内にはトーナメント
    写真が所狭しと飾られており、どの写真も興味深く拝見しました。島津社長自らが撮
    影したとの事ですが、写真にも大変造詣が深く、学ばせて頂く事ばかりでした。

    コロナ禍の関係から旅行業は、大変苦しまれた事と思いますが、島津様から率先して
    愚痴など出る事無く、自然体で話される姿勢には、何時までも夢を追いかける少年の
    様なものを感じました。

    終始笑顔で話されていたのが、とても印象に残りました。

連絡先
■ 名 称 :株式会社ジェットアンドスポーツ
■ 所在地 :〒104-0061 東京都中央区銀座1-18-2 タツビル
■ 連絡先 :TEL 03-3535-5111 / FAX 03-3535-2230
■ 事業内容:ゴルフ旅(世界中に夢のゴルフ旅 SINCE 1986)
■ U R L:http://www.jetgolf.co.jp /━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                           2023 年 12月 5日
                           文_大野良夫 © Yoshio Oono
                           日本ゴルフジャーナリスト協会 会員