一社)日本ゴルフ場経営者協会(以下NGK)は2023年4月中旬、2023年1月度に於けるゴルフ場利用者数に関する対前年比資料を公開しました。
| ゴルフ場数 | 課税者数 | 非課税者数 | 総利用者数 |
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2022年1月度 | 2027 | 4,227,822 | 1,140,898 | 5,368,720 |
2023年1月度 | 2020 | 4,104,211 | 1,153,179 | 5,257,390 |
増減数 | ▲7 | ▲123,611 | 12,281 | ▲111,330 |
NGKではゴルフ場利用税の納税資料を基に、上記資料を作成しています。上記資料ではゴルフ場数が7コース減少している事から、単純比較は出来ないものの、傾向を把握する上では重要な資料に成り得るものと思われます。
近年コロナ禍を逆手に取ったゴルフ場業界は、好影響を受けており、特にゴルフ場利用税の課税対象者である若年層が、ゴルフに取り組むケースが増えていると言われて来ました。しかしながら今回の単月表では、123,611人減少している事がみて取れます。
半面非課税者は堅調な動きを見せており、12,281人の増加と成っています。過去10年以上にも及ぶ傾向を踏襲し、大きなトレンドに変わりがない事を証明しています。冬季で有っても防寒着を身にまとい、ゴルフをしているのだと思われます。
この様な年齢層に於ける増減を確認しつつ、総利用者数を見るならば111,330人が、減少しています。此れを冬季に於ける一過性に過ぎないと見るのか否かは、今後NGKから発表される新たな資料を待たざるを得ません。年間を通じての通過点資料と言えばそれまでですが、次のステージへの重要な資料に変わりは有りません。
プロゴルファーの服部道子氏が株式会社世界文化社より、「好転力_心をシンプルにすればうまくいく」なるタイトルの書籍を出版しました。初版が2021年7月と言う事から、2年近い年月が経過しましたが、著者は紛れもなく服部氏自身です。
氏の生きざまや試合での「きずき」を含め、マンネリ化した時やつまづきそうになった時、如何に「好転力」が必要なのかを説いています。それは他者からの啓発が契機に成ったりするのですが、受け留める自分自身も、しっかりとしていなければ出来ない話です。
服部氏はプロゴルファーと言う立場からゴルフの世界に特化し記述していますが、他のスポーツやビジネス界でも相通じるものが有ると言えます。ゴルフを始めた方からベテランの方まで、読み易く記述されていますので、是非一度お手に取られてみて下さい。簡単な概略は下記の通りです。
■ 発行・発売:株式会社世界文化社
東京都千代田区九段北4-2-29
電話 03-3262-5115(販売部)
2023年4月14日現在、好評販売中との事。
南部富士カントリークラブの施設保有会社である南部富士株式会社は、2022年1月1日~同年12月31日までの第19期有価証券報告を、2023年3月31日明らかにしました。
売上高は60,000千円を計上するものの、経常利益は2,042千円と成りました。当該法人はゴルフ場の施設保有会社と言う性格から、売り上げは安定しています。しかしながら事業リスクも多分に抱えている事も事実であり、同報告書では下記の様に記述されています。
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令和4年12月31日現在において償還期限が到来している長期預り金残高724,000千円があるほか、財務活動におけるキャッシュ・フロー支出をまかなうだけの営業活動によるキャッシュ・フローを獲得できておらず、現時点で令和5年度以降の資金繰り予想は不透明は状況で、金融機関融資、スポンサー企業からの出資等、多様な資金調達方法を検討しております。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2004年4月に会員権の預託金問題を解決する為、当該ゴルフ場は株主会員制へ移行し、この問題の沈静化には成功した様に見られていました。しかしながら冬季間、当該ゴルフ場はクローズになると言う不利な条件下、厳しい営業を強いられている事は同報告書からも読み解けます。
いかに限られた期間で集客数を伸ばし、営業利益をアップさせていくのかは、抜本的対策も含め当該ゴルフ場の大命題だと言えます。次なる一手、隠し玉とも言えるものが有るのか、期待したいところです。
伊香保カントリークラブ(群馬県)を経営する株式会社伊香保カントリー俱楽部では、2022年1月1日~同年12月31日までの第65期有価証券報告を、2023年3月31日明らかにしました。
営業収入は222,105千円を記録するも経常損失は106,382千円と成り、2004年12月期以来連続で営業損失が発生しています。収入自体はコロナ前の2019年第62期までに戻り、年間来場者数は第64期よりも804名増えました。しかしながら此れをもって、収益の大幅な改善までには至りませんでした。
今後この様な状況を改善すべく、今春よりビジター料金を改定すると共に、若年層を取り込む為に新たな会員制度を設けるとしています。此れが何処まで抜本策として機能するのかは、今後の推移を見守る必要が有ります。なお年間営業日数343日の内、来場者数は10,404名ですが、これは稼働率にして17.2%に過ぎません。
ところで同報告書は「継続企業の前提に関する重要事象等」として、積み重なる508,964千円の債務超過は、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在」しているとして、注意喚起しています。
株式会社山田クラブ21は、2022年1月1日~同年12月31日までの第25期有価証券報告を、2023年3月31日に公表しました。その中で全6コースの連結会計年度に於ける売上高は4,153,141千円、経常利益は538,879千円を計上したとしています。
前期に続き好業績となった背景には、ゴルフプレー需要の高まりを受け、来場者増加が大きいと分析しています。通常288,945人を目標数にしているところ、304,947人が来場し前期比4.9%増加を達成したとしています。更に顧客単価が上昇傾向にあり、これが好業績の下支えになっているとの事。
しかしながら手放しで喜べない事業上のリスクとしては、グループ全体で会員預り金1,164百万円が2022年12月31日時点で残されている事、更に有利子負債の削減には努めているものの長期借入金3,000百万円が有る事、これ等が経営成績及び財政状態へ影響を及ぼす可能性があるとしています。
この様なリスクはあるものの当該グループでは今後も、「徹底したサービスによる差別化を図り(サービス日本一)のゴルフ場を目指す」事で、企業価値並びに会員権の価値を高めて行く方針としています。
「明日を担う女子ゴルファーを発掘そして育成したい」、群馬県の赤城カントリー俱楽部社長の相川由紀夫氏が、この思いをグリーンヒル長岡ゴルフ俱楽部(新潟県)の樋熊隆治理事長へ話したところ、「ではそれウチでやりましょう」とトントン拍子で開催されたのが、昨年2022年の第1回目のトーナメントでした。
名付けて「GREENHILL CUP LADIES OPEN」。相川氏は自らがプロゴルファーと言う立場から、プロとして活躍したい多くの若き女子ゴルファーから相談を受ける事が多く、その内容は3日~4日間の試合経験を増やしたいと言うものでした。
1日或いは2日間試合は様々開催されているものの、3日~4日間大会で実力をコンスタントに出せる様レベルアップしたい、この様な女子ゴルファーの声を何とか反映させてあげたい、この思いで実現したのが昨年の大会でした。その大会が今年も又、第2回目として開催されます。その概要は下記の通りです。
■ 開 催 日 :2023年6月6日~6月9日
■ 会 場:グリーンヒル長岡ゴルフ俱楽部(新潟県)
■ 参加資格:プロテスト未受験者及び未合格者並びに昨年の同大会10位以内(60名予定)
■ 賞金総額:400万円(優勝賞金100万円)
■ W E B :https://aac-18.com/ghclo
なお参加者は定員に成り次第締め切りますが、4月10日現在空き枠が有りエントリー受付中です。手続きは上記URLより大会のWEBサイトに入り、<参加お申し込み>のリンクより可能です。
小山ゴルフクラブ(栃木県)を経営する株式会社小山カントリー俱楽部では、2022年1月1日~同年12月31日までの第65期決算を、2023年3月30日明らかにしました。
同決算では売上高385,193千円を計上、過去3期連続での経常損失状態を脱し、4期目にして33,018千円の経常利益を上げたのです。この利益の内訳は、プレー収入等267,626千円、食堂売店売上46,963千円、名義書換料47,100千円、その他収入として23,502千円でした。
同経営会社では此の好業績の要因を、来場者の増加と経費縮減によるものだと分析しています。今回はこの様な好成績を収められたものの、手放しで喜べない経営上のリスクは常にはらんでおり、「景気の変動及び個人消費の動向が入場者数に大きく影響する」状況は、変わっていないとしています。
また近在のゴルフ場で行っている安値集客策の影響は避けられないものの、会員重視の運営姿勢は堅持して行くとしており、「通常営業は全てキャディ同伴プレー」である事を強調しています。他クラブとの差別化を鮮明にする事で、集客のアドバンテージを得て行く戦略です。
この戦略が何処まで多くのゴルファーへ訴求出来るのか、高級路線の真価が今期も又問われています。
霞南ゴルフ俱楽部(茨城県)では2023年4月3日より、会員権の名義書換を開始しました。名義書換料は下記の通りです。
会員種別 | 書換手続き | 名義書換料 |
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正会員 | 一般譲渡 | 660,000円(税込) |
サファイア会員(奇数日) | 一般譲渡 | 660,000円(税込) |
パール会員(偶数日) | 一般譲渡 | 660,000円(税込) |
名義書換にあたり譲渡対象となるのは、2014年1月以降に当該クラブへ入会した会員が保有する会員権のみで有り、それ以前の旧・利根ゴルフ俱楽部の会員権については取扱不可との事です。理由としては前経営会社である株式会社サンクチュアリ霞南が、旧会員を承継していない為です。
尚当該ゴルフ場の初代経営会社は、2013年4月4日に金融債権者より東京地裁へ破産申請された事から、2013年12月25日に破産管財人が株式会社サンクチュアリ霞南へ、利根ゴルフ俱楽部の資産を売却しており、その事をもって破産手続きは終結しています。
そしてその後、2022年1月14日に当該ゴルフ場は再び経営交代となり、西山ホールディングスグループ傘下として今日に至っています。
宇都宮カンツリークラブを経営する株式会社宇都宮ゴルフクラブでは、2022年1月1日~同年12月31日までの第63期有価証券報告書を、2023年3月28日に公表しました。
売上高は342,408千円と近年これまでにない数字を出したのですが、来場者数は目標の4万人に届かず前年同期比1.9%減の39,447名と成りました。来場者が減少するも売上高を伸ばせた要因として、プレー料金の改定が功を奏したと、決算書では分析されています。
プレー収入が19,294千円と7.9%増加した事が、売上高に貢献したのですが、同時に売上原価も増加しています。例えば減価償却費や人件費、更には販管費としての電気料金や修繕費も増加しており、収益を圧迫した結果として経常利益は、7,711千円に留まったとしています。
ところで当該ゴルフ場では、2022年8月より太陽光発電工事に着手しており、その施設は2023年2月には完成し、同月23日から稼働しているとの事。この電力は全て東電への売電として処理される様ですが、売価が高い事から想定内の期間で、設備投資資金を回収出来る見込みとしています。
この売り上げは、今期に生かされて来るものと思われますので、どの様に反映されるのか、来年の有価証券報告書の公表が注目されます。
相模原ゴルフクラブ(神奈川県)を経営している株式会社相模原ゴルフクラブでは、2022年1月1日~同年12月31日までの第70期決算を、3月30日に公表しました。売上高1,431,121千円は此れまでに無い好業績と成り、経常利益73,276千円を計上しました。
この背景には来場者数が64,463名を数え前年比106%になった事、更には食堂事業が前年度を27百万円上回り200百万円になった点などを上げています。又新規入会者が過去最高記録には及ばないものの、121件に到達した事などは、見落としては成らない点だと言えます。
特にここ数年、当該クラブでは会員権業者との協力関係を重視しており、会員権の名義書換件数イコール新規入会件数の下支え要因として、上げておく必要が有るのではないでしょうか。「会員権業者との協力関係」、この点を明確に打ち出しているのが、他の名門クラブとは異なる特色になっています。
なおエネルギー問題などの課題を抱えつつも当該クラブでは、「最高のゴルフクラブ体験を提供できるクラブの実現へ向け」、今後も取り組んで行くとしています。